つぎ、なによむ?

本を読みたいけど、なにを読もう。この本、みんなはどう思ったんだろう。誰かの、本を手に取るきっかけに。

才能も、不幸も、熱心さも勤勉さもない人の本【アズミ・ハルコは行方不明 山内マリコ】

そんな感じだなーって。

なんかある一定の人たちはこんな感じだなーって。わかんないけど。10年も20年も後に読むと、あーこの頃の若い人ってこんな感じだったんだなーってわかるんじゃないかな。 

アズミ・ハルコは行方不明 (幻冬舎文庫)

アズミ・ハルコは行方不明 (幻冬舎文庫)

 

特出した才能とかなくて、取り立てて語るほどの不幸もなくて、熱心に取り組みたいこともなくて、広い世界も知らなくて、ただ淡々と与えられた仕事をこなすような勤勉さもなくて。いろんなこと、いろんな日本の事象をばかにしてる。共感するから腹は立たないけど、客観的にみて、俯瞰して、ばかにしてる。 

 

アートフェスとかね、ほんとばかみたいだよね。音楽だってそうで、アートも音楽もアーティストの自己満足のようなもの。でもメディアに取り上げられて多くの人に知られたら、その中の少しの人にとっての生きる気力になったり、前に進む原動力になったりする。音楽が一緒に悲しくなったりさみしくなったりしてくれたりもする。誰かにとって大きな意味を持ったりする。すごいことだなぁ。

 

ある程度決められた道というか、自分が一生懸命にならなくちゃいけない環境があるって幸せなことだと思う。大変な仕事でもいいし、子育てでもいいし、なんでもいいけど。それを「大変だー!しんどいんだけどー!」って伝えられる誰かがそばにいて、本当に助けてほしいときには力になってくれたりしたら、もうそれで十分幸せだと思う。

そしたら小さな幸運や小さな安堵、小さな感謝が大きな幸せに感じられると思う。

 

 

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つぎ、なによむ?

男と女も、女と女も、おんなじだと思う本【キャロル パトリシア・ハイスミス】

美しいかんじだった。

美しかった、って言いたいけどなんか恥ずかしいから、美しいかんじだった。

キャロル (河出文庫)

キャロル (河出文庫)

 

 物語が最初から最後までつらーって繋がっていて、でも飽きなくて、一部と二部の境目もどこだったか思い出せない。何年後かにまた読みたい。

 

うっすらしたテレーズとキャロルのイメージをこのままうっすら持っていたいから、映画は観ない方がいいかなぁ。何度か読んで自分の中に十分な世界が出来上がったら、観てもいいかもしれない。

テレーズは細くて髪が長くて、基本的に無表情。キャロルはショートカットで良質な素材の服や鞄を持っていて、よく微笑む。所作とか表情とかが女らしいけど、ちょっと大人ぶっているかんじ。ふたりとも白くてすごく綺麗。私のイメージだけど。

 

ふたりがお酒を飲んでいるところ、すごく飲みたくなった。こんな風に落ち着いておいしいお酒を飲みながら、話したり話さなかったりしてみたい。

コーヒーとはやっぱり違うんだろうな。

美味しいお酒を飲みに行きたい。連れて行ってほしい。

男と女も、女と女も、おんなじだと思う。男と男はわからないけど。

男とかとかじゃなくて、「その人」なんだと思う。

魅力があれば惹かれるし、想いを確かめ合うのは複雑だし。

 

こんな本をまた読みたいな。

いつも本屋さんで、表紙と裏と最初の何ページかを読んで、あーこんな感じね、って予想できるものを選んでしまう。全く違うジャンルを読んでみたいのに。この本も自分だったら選ばなかったかもしれない。妹がプレゼントしてくれたから、最初は気持ちが入らなくて挫折してしまいそうだったけど頑張って読んだ。

私のことをよく知る誰かに本をおすすめしてほしい。

 

 

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つぎ、なによむ?

成長すると成長する本【キッチン 吉本ばなな】

こんなに明るい話だったかな?

こんなにしっかり前向きな物語だったかな? 

キッチン (角川文庫)

キッチン (角川文庫)

 

昔読んだときは暗い印象だったのにな。辛い現状の部分ばかりが入ってきて、それを越えた先の明るい部分が入ってこなかったのかもしれない。

こういう、自分の力ではどうしようもない辛い苦しい状況を、一緒に乗り切ることで深まっていく愛って憧れる。

憧れるだけで、自分の身には起こってほしくないけど。

きっと現実はそんなにうまくいかないことの方が多いから。

それなら苦しい状況にならない方がいい。

すっきりしてて共感できる文だった。

昔はなんか不穏で、不思議な印象だった気がするから、少しは気持ちが成長している気がする。

読みながら、読んでるんだけど、いろんな考えが頭をめぐった。

 

 

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最後ちょっと残して放置してしまえる本【色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年 村上春樹】

最後の20ページくらい残して、一週間くらい放置しちゃった。

最後のまとめみたいなの、なんでいるんだろう。

そんな物語を全部ふりかえって、正しい解釈みたいなの教えてもらいたくない。

あとがきが無いのが、すごいなんか「解説なんてさせない」みたいな感じがした。

性的な描写そんなにいる?って思う。変だし。そんななんか大層大事なことみたいな雰囲気出して書かれても…。

最後まで手に入れたがってたサラさんの人間性が全然描かれていないのは、わざとかな?魅力が分からない。読者の男性が自分の好きなタイプにして想像できるように、かな?

最後のまとめの部分で声がききたい、会いたい、みたいにすごい欲していたけど、どんな魅力があるんだろうあの人に。

サラに振られたら、死んでしまうって、現実的にか比喩なのかはわからないけど、あほみたい。

ノルウェーの森みたいに、何年後かにまた読むといいのかな。そうだといいけど。

つくるさんの、ストイックな身体の鍛え方というか、体調管理の改善方法とか、駅をつくるってゆう仕事への誠実さとかは尊敬できる。そこだけかな。

 

 

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つぎ、なによむ?

今の時代を詰め込んだ気軽な本【ままならないから私とあなた 朝井リョウ】

 自分が言いたいことがあるときは、反対の意見をもつ人にしゃべらせて、それに反発するように伝えると、いくらでも言いたいことが言えるんだね。

雪子と薫の意見はどっちも朝井さんの言いたいことのような気がするけど。

ままならないから私とあなた

ままならないから私とあなた

 

とにかくこの人は今の時代を物語の中に詰め込みたいんだろうな。

何十年後かにこの時代のことを知りたくなったら、朝井さんの著作を全部読めばいいと思う。一面ではあるけど、今の時代のことがとてもよくわかると思う。

これくらい簡単でちゃっと読めた方が疲れないし、娯楽として気軽。そういうところも朝井さん考えてるんだろうな。この人の伝えたいことは、重く長く書いても、読んでほしい人に伝わらないんだろうな。若い世代に読んで共感してもらうにはこれくらいにしといた方がいいとか、考えてるんだろうな。

 

長く、何年も何年も関係を続けられるってことは本当に尊いこと。

そんな人が人生の中でたくさんいたらとても幸せだと思う。

昔のことも知っている人が近くにいてくれたら、道を踏み外すこともなくなるというか、何かあったときに思いとどまることができると思うし、誰かが間違いに気づかせてくれるかもしれないし、少しくらい表面が変わってしまっても理解してくれると思うし、何より安心できる。

 

今私のまわりにいてくれる信頼できる人たちを失わないように。がっかりさせないように。

 

 

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愛すべきひとたちの本【みかづき 森絵都】

最後100ページくらいまとめて読んじゃった。

涙出たわー。

登場人物がそれぞれに本当に素敵な個性を持っていて、愛すべき人たちだなと思った。

吾郎には、会いたくなった。

 

みかづき

みかづき

 

 ひとりの人を描くのではなくて、時代によって中心にする人物を変えて、世代も超えていく。そこにある物事がどう成り立ってきたのか、昔の人たちがどんな気持ちで作り上げてきたものなのか、すごく感じられた。

親戚や血のつながりや、力を貸してくれる周りの人たちがどれだけ大切か、よくわかる。

 

『教育は、子どもをコントロールするためにあるんじゃない。不条理に抗う力、たやすくコントロールされないための力を授けるためにあるんだ——』

 

語り手の年代に合わせて言葉遣いを変えたり、古くて難しい言葉を使っても読みにくくならないようにしてあったり、シーンが変わるところで時間をちょっと先に進めておくことで無駄な説明を省いたり、森絵都さんの技術がすごい。

森絵都さんのカラフルは私が初めてまともに読んだ小説だったと思うけど、中学一年生のときだったかな、読み終わったとき「あー今読んでおいて良かったー。」と思った気がする。

これも、今読んでとても良かった。

 

なんだろう。この良い長編を読み終わったときの、心地の良い達成感。

あーおもしろかった。

 

 

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濃くて濃くて揺さぶられる4ヶ月の本【君の膵臓を食べたい 住野よる】

泣いた泣いた。

ものすごいぼろぼろ泣いた。悲しいなぁ。

死んでしまうっていうのは本当に悲しいなぁ。

いつも思うことだけど、誰かが死んでしまって気づく大切なことなんて、気づきたくない。

 

君の膵臓をたべたい (双葉文庫)

君の膵臓をたべたい (双葉文庫)

 

 でももし自分が死んでしまうんだったら、大切な人たちが前向きに生き続けられるような何かをのこしたい。

この子はそれをのこしたんだなぁ。あー悲しいなぁ。

 

私のこれまでの人生は良いことばかりだったから、いつ死んでしまってもしょうがないかなって思うけど、やっぱりこの先にある楽しいことを経験したいから、死にたくは全然ないな。

この先にも楽しいことばかりが待ってるって思うのは楽観的過ぎるかもしれないけど。

 

この二人なんてたった4ヶ月の関係じゃん、って思う部分もあるけど、

濃い4ヶ月があるって知ってる。

濃くて濃くて大変感情を揺さぶられる4ヶ月があるって知ってる。

そのたった4ヶ月を度々思い出して、一生忘れられないんじゃないかなって思う。

 

出会った大切な人たちみんなとずっと一緒に生きていくことはできないから、出会って一緒に過ごした時間をずっと大切に、奥の方にしまっておくしかない。

たまに取り出して思い出して、またしまっておく。

それしかできないし、それでいい。

今一緒に生きている人を大切に大切にすれば、それでいい。

 

 

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